借金問題で不安な給与や銀行口座の差し押さえを回避する方法とは?弁護士への相談を徹底解説
2025年4月26日

借金の返済が困難になり、将来の生活について「もしかして給与や銀行口座が差し押さえられてしまうのではないか…」と不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。実際に差し押さえが行われると、生活に大きな影響が出てしまいます。
しかし、ご安心ください。
借金問題の解決方法である「債務整理」を行うことで、給与や銀行口座などの財産の差し押さえを回避できる可能性が多々あります。
特に、差し押さえが実行される前に適切な対処をすれば、その可能性は大きく高まります。
この記事では、借金と差し押さえの関係、差し押さえに至るまでの流れ、そして債務整理がどのように差し押さえを防ぐのか、さらには差し押さえられてしまった場合の対処法について詳しく解説します。
差し押さえの不安を解消し、生活を立て直すための一歩を踏み出す参考にしてください。
借金滞納で起こりうる差し押さえとは?
差し押さえ(差押え)とは、借金を返済しない債務者に対し、債権者(お金を貸した側)が法的な手続きを経て、債務者の財産を強制的に回収することです。
これは「強制執行」と呼ばれる手段の一つです。
差し押さえの対象となり得る財産には、以下のようなものがあります。
給与
銀行口座(預金)
現金
不動産(土地や家)
自動車
有価証券(株式など)
生命保険の解約返戻金請求権
後払い決済サービスやクレジットカードのリボ払いなどで購入した商品(所有権留保がある場合)
特に給与や銀行口座が差し押さえの対象とされることが多く、給与の差し押さえを受けると、勤務先に借金の滞納を知られてしまう上に、生活費が強制的に減らされてしまいます。
給与の差し押さえは、借金を完済するまで続き、生活へ大きな打撃を与えます。
ただし、すべての財産が差し押さえられるわけではありません。
「差押禁止財産」として、生活に必要な一定の衣服や寝具、食料、66万円以下の現金、給与の手取りの4分の3(手取り44万円超の場合は33万円以下の部分)、公的年金などが法律で定められています。
給与の手取り額が20万円なら4分の1の5万円、手取り40万円なら4分の1の10万円、手取り50万円なら33万円を控除した17万円が差し押さえの対象となります。
差し押さえに至るまでの流れと対処すべきタイミング
借金を滞納した場合、すぐに差し押さえが行われるわけではありません。債権者は返済を促すために段階的な催促を行います。
最終的に強制執行による差し押さえとなるまでには、通 常、以下のステップを踏みます。
【滞納翌日~2ヶ月】督促状が届く
返済期日を過ぎると、数日で電話やメールでの確認や催促があり、さらに1ヶ月程度滞納すると自宅に督促状が届きます。
これを無視し続けると、消費者金融などの債権者の場合は職場に電話連絡が入ることもあります。
【滞納2~3ヶ月】差押予告通知が届く
督促状も無視した場合、滞納して2ヶ月から3ヶ月ほどで差押予告通知が届きます。
この通知には、差し押さえ対象の資産の種類や数量、返済期限、差し押さえの理由、予定日などが記載されています。
これは「一括請求」の意味合いもあり、裁判の準備段階に入ったという最終通告です。
差押予告通知自体に法的な効力はありませんが、差し押さえを予告する重要な書面です。
【差押予告通知から数週間】裁判(訴訟・支払督促)を経て判決・強制執行
差押予告通知の期日までに返済がない場合、債権者は裁判所へ申し立てを行います。
これにより、訴状や支払督促が債務者に届きます。
これらに異議申し立てをしないまま放置すると、債務名義(強制執行を行うために必要な公的な文書)が確定し、さらに裁判所の手続きを経て、強制執行として給与や銀行口座などの差し押さえが可能となります。
裁判所から勤務先や銀行に対して「債権差押命令」が送付され、勤務先は債務者へ給与を満額支払うことが禁止されます。
このように、差し押さえは突然行われるのではなく、いくつかのステップを経て進行します。
特に差押予告通知が届いた段階は、差し押さえが目前に迫っている非常に危険な状態です。
対処すべき最も重要なタイミングは、この「差押予告通知」が届く前、すなわち借金滞納が2ヶ月ほどになった時点です。
この段階であれば、まだ差し押さえを回避できる可能性が十分にあります。
債務整理で差し押さえを回避できる?
借金問題を解決し、差し押さえの不安を解消するための有力な方法が「債務整理」です。
債務整理にはいくつかの種類があり、それぞれ差し押さえに対する効果が異なります。
差し押さえ前の任意整理:回避できる可能性が高い
「任意整理」は、裁判所を介さずに、債権者と債務者(お金を借りた側)が直接交渉し、返済方法を見直す手続きです。
主に将来利息のカットや、3~5年 程度の分割払いを条件に和解を目指します。
任意整理を行うことで、給与や銀行口座などの財産の差し押さえを回避できます。
これは、任意整理が「完済目的での和解」を目指すものであり、債権者としても和解によって問題なく借金を回収できる見通しが立てば、強制執行などの強硬手段に出る可能性が低くなるためです。
任意整理を弁護士や司法書士に依頼すると、債権者に「受任通知」が送付されます。
受任通知とは、専門家が代理人となったことを知らせる通知で、この通知が送られた時点から債務整理が完了するまでの間、貸金業法に基づき債権者は取り立てや督促ができなくなります。
これにより、最短即日で督促が止まり、交渉中は実質的に月々の返済がゼロになり、遅延損害金の加算も止まるため、差し押さえ手前で状況を落ち着かせ、今後について考える猶予が生まれます。
したがって、差し押さえを回避したいのであれば、返済が難しくなったと分かった時点で、差し押さえが実行される前に、特に差押予告通知が届くよりも早い段階(滞納2ヶ月ごろ)で任意整理を検討し、専門家に依頼することが非常に重要です。
任意整理をしても差し押さえられるケースと対処法(差し押さえ前)
任意整理は裁判所を介さない任意の交渉のため、すべての場合に差し押さえを回避できるわけではありません。
以下のようなケースでは、任意整理をしても財産を差し押さえられる可能性があります。
債権者が交渉に応じない
任意整理は債権者との交渉によるため、そもそも債権者が交渉に応じなかったり、和解に至らなかったりする場合は、差し押さえを回避できません。
特に、担保を提供していない場合でも、債権者の中には任意整理に応じないところもあり、滞納が長期化すれば訴訟を経て差し押さえてくる可能性があります。
また、交渉が長引いた場合も同様です。
対処法: 任意整理の交渉には専門的な法律知識が必要であり、個人で行うと失敗する可能性が高いため、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することが、債権者との交渉をスムーズに進め、成功させるためのポイントです。
専門家が間に入ることで、債権者も信用しやすくなるといえます。
すでに差し押さえの手続きが進んでいる
すでに差押予告通知が届いているなど、債権者が差し押さえの準備段階にかなり入っている場合、任意整理で回避するのは難しいでしょう。
対処法: この段階で差し押さえを回避するには、裁判所を介する個人再生や自己破産といった別の債務整理方法を検討する必要があります。
これらの手続きは、裁判所に申し立てると強制執行が中止される効果があるためです。
ローン返済中の車や家がある
自動車ローンには「所有権留保」が一般的で、完済まで車の所有権は債権者(ローン会社)にあります。
住宅ローンも返済できなくなると、債権者が家や土地を競売にかける可能性が高いです。
これらは担保権が設定されているため、任意整理の対象に含めると担保権を実行され、車や家を失う可能性が高くなります。
対処法: 車や家を手元に残したい場合は、自動車ローンや住宅ローンを任意整理の対象から外し、これまで通り返済を続ける必要があります。
カードローンを利用している銀行に預金口座がある
給与の振込先が任意整理の対象とするカードローンと同じ銀行の場合、銀行は借金と預金を相殺(補填)するために口座を凍結することがあります。
凍結されるとお金の引き出しなどができなくなります。
対処法: このような事態を防ぐには、給与の振込先を別の銀行口座に変更することが有効です。
後払い決済サービスやクレジットカードで購入した未決済の商品がある
ペイディやメルペイスマート払いなどの後払いサービスや、クレジットカードの分割払い・リボ払いで購入し、まだ返済が終わっていない商品の中には、「所有権留保」が付いているものがあります。
この場合、代金完済まで商品の所有権は信販会社にあり、没収される可能性があります。
特に貴金属やパソコン、スマートフォンなど、売却しやすく高値がつく商品は没収される可能性が高いです。
対処法: これらの商品を没収されないためには、購入時に使用した後払い決済サービスやクレジットカードを任意整理の対象から外す必要があります。
すでに差し押さえられている場合は任意整理では解除できない
残念ながら、すでに財産が差し押さえられている場合、任意整理を行っても強制執行による差し押さえを解除することはできません。
任意整理はあくまで債権者との任意の交渉であり、裁判所を介した法的な手続きではありません。
債権者からすれば、財産の差し押さえを実行している時点で、すでに債権回収の目処が立っている状態です。
そのため、この段階でわざわざ任意整理の交渉(通常は分割払いを求めるもの)に応じるメリットはほとんどなく、差し押さえを解除するかどうかの判断は債権者に委ねられることになりますが、現実的には応じるケースは少ないと考えられます。
任意整理後に交渉を持ちかけても、債権者の判断次第で取り下げてもらえる可能性は低いのが実情です。取下げてもらうには、一括返済するか、差し押さえ金額(給与の4分の1)よりも多くの分割支払いを提示するといった条件が考えられます。
差し押さえを解除・停止できる 債務整理は?
すでに差し押さえられてしまった場合、任意整理では対処が難しいですが、裁判所を介する「個人再生」や「自己破産」であれば、差し押さえを止めることが可能です。
個人再生
個人再生は、裁判所の関与のもと、原則としてすべての債権者に対し、大幅に減額された借金を原則3年(最長5年)で分割返済する手続きです。手続き開始決定が出ると、それまで行われていた強制執行は中止されます。再生計画が認可され確定すれば、差し押さえは失効(取り消し)となります。
自己破産
自己破産は、裁判 所の関与のもと、一部の財産を除きすべての財産を処分する代わりに、借金の全額を免除してもらう手続きです。破産手続き開始決定が出ると、その時点で強制執行は失効(取り消し)となります。給与債権の差し押さえを受けているケースなどでは、早急な自己破産の申し立てが有力な解決策になることがあります。ただし、免責が許可されれば差し押さえは正式に解除されますが、すでに差し押さえられて債権者に渡ってしまった給与や預金、財産は戻ってきません。また、自己破産では生活に必要な一部を除き財産が処分の対象となる点に注意が必要です。
個人再生や自己破産の場合、申し立てから手続き完了までにある程度時間がかかるため、即効性という点では注意が必要な場合もあります。しかし、差し押さえられている状況から脱するためには、これらの裁判所手続きが非常に有効な手段となります。
差し押さえの不安があるなら弁護士・司法書士に相談を
「借金が返せない…」「差し押さえられないか不安だ…」「すでに差し押さえられてしまった…」このような状況にある方は、一刻も早く弁護士や司法書士といった専門家に相談することをお勧めします。
その理由は以下の通りです。
最短即日で督促や取り立てが止まる
専門家に債務整理を依頼すると、すぐに債権者へ受任通知が送付され、法律に基づき(貸金業法第21条)、債権者からの直接の連絡や取り立てが止まります。
これにより、連日の取り立てに追われる精神的な負担から解放され、落ち着いて今後の対応を考える時間ができます。
差し押さえ前に相談すれば回避できる可能性が高い
弁護士や司法書士は、債権者との任意整理交渉のプロフェッショナルです。
債権者の傾向や状況に合わせた交渉術を用いて、和解を成功させ、差し押さえを回避できる可能性を最大限に高めてくれます。
特に、差し押さえ目前の段階(滞納2ヶ月程度)で相談すれば、差し押さえを回避できる余地がまだあります。
状況に最適な債務整理方法を提案してくれる
借金の状況、財産の有無、収入、差し押さえの進行状況などによって、任意整理、個人再生、自己破産といったどの債務整理が最適かは異なります。
専門家であれば、丁寧に状況をヒアリングし、それぞれのメリット・デメリットを踏まえて、借金問題を根本的に解決するための最適な方法を提案してくれます。
差し押さえられてしまった場合でも解決策を示せる
もしすでに差し押さえが実行されてしまっても、個人再生や自己破産によって差し押さえを停止・解除できる可能性があるため、専門家はそうした選択肢も含めてアドバイスし、手続きをサポートしてくれます。
また、給与の一部差し押さえの場合に、裁判所への差押禁止債権の範囲変更を申し立てる方法についても相談できます。
多くの法律事務所や司法書士事務所では、借金問題に関する無料相談を受け付けています。
相談したからといって必ず依頼する必要はありません。
まずは気軽に相談してみるこ とで、解決への糸口が見つかるはずです。中には24時間365日受付や、何度でも無料相談可能な事務所もあります。
相談時に「今の勤務先を知られているか」といった点も、差し押さえのリスクを判断する上で重要になります。
任意整理で和解する際には勤務先を開示するのが一般的ですが、転職などで変わっている場合は、債権者が把握していないこともあります。専門家はそうした状況も踏まえてアドバイスを行ってくれます。
財産の差し押さえを回避したいのであれば、借金返済が難しいと分かった時点で、できる限り早く専門家に相談し、対処することが最も重要です。
差し押さえられてからでは、任意整理による解決は難しくなります。手遅れになる前に、まずは専門家の力を借りてみましょう。
まとめ
借金の滞納が続くと、最終的には給与や銀行口座などの財産が差し押さえられる可能性があります。
差し押さえは、督促状、差押予告通知、裁判といった段階を経て進行し、特に差押予告通知は差し押さえ目前の危険なサインです。
差し押さえを回避するためには、差し押さえが実行される前に、特に滞納が2ヶ月程度になった段階で早急に対処する必要があります。
任意整理は、差し押さえ前に開始すれば給与や銀行口座などの差し押さえを回避できる可能性が高い債務整理方法です。
専門家に依頼すれば、受任通知によって最短即日で督促が止まり、交渉を有利に進めることができます。
ただし、任意整理をしても債権者が交渉に応じない場合や、すでに差し押さえ手続きが進んでいる場合、担保付きの借金、ローンのある銀行口座、所有権留保付きの商品などがある場合は、差し押さえられる可能性も残ります。
これらの場合は、専門家と相談し、任意整理の対象から外す、振込先を変更する、あるいは個人再生や自己破産といった別の方法を検討する必要があります。
すでに財産が差し押さえられてしまった後は、任意整理で差し押さえを解除することは基本的にできません。
この段階で差し押さえを止めるには、借金を完済するか、給与差し押さえであれば差押禁止債権の範囲変更を申し立てるか、あるいは裁判所を介する個人再生や自己破産といった手続きを行う必要があります。
借金問題や差し押さえの不安を抱えている方は、できる限り早いタイミングで弁護士や司法書士に相談することをお勧めします。
専門家はあなたの状況に応じた最適な解決策を提案し、手続きをサポートしてくれます。無料相談を利用して、まずは一歩踏み出してみましょう。